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 徒然日記

舞台姉妹*(中国映画)

 

タイトルからわかるように「姉妹」を題材とした映画です。監督は第3世代の巨匠、謝晋の作品です。

とっても素敵な映画なのに日本では字幕が付けられてないほど、マイナーな映画なのでとても残念です(^^;;

 

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(左)主人公で姉の春香 (右) 義妹の紅月

 

*以下、ストーリーの概略です。 

 

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主人公の春香は両親が決めた望まぬ結婚(当時地方などの田舎で多かった売身婚)から逃れるために、町に上演をしにきた越劇のドサ巡りの劇団の楽屋に隠れます。

 

どうしても結婚をしたくなかった春香は劇団の一員にしてくれと座長に頼みます。

支配人は反対するもの、寛大な座長は春香を受け入れます。座長の娘であり、劇団のトップの紅月(男役)とすぐ仲良くなり、他の団員ともすぐ打ち解けます。

 

広大な土地の寒気と乾燥が激しい中国の地でドサ巡りをすることは並大抵の事ではありません。春香は自分を受け入れてくれた劇団のために必死に働きます。そんな春香に座長は演技を教えます。春香は旅をしながら懸命に台詞や所作、立ち回りを覚えます。

そして紅月と共に名コンビと称される程に女優として成長します。

 

ある日劇団は浙江省の川辺の町で上演します。

しかし町のヤグザの頭が2人を気に入り、夜に自分の屋敷へ招待します。

頭は特に紅月を気に入り、紅月だけ残るように強要します。

しかし座長と春香は断固として断り、紅月を連れて帰ります。

 

翌朝、怒った頭が上演中の劇団に警察を送ります。春香は団員を守るために警察に反撃し、捕らえられました。捕らえられた春香は罰として3日間柱に縛られて見せしめとされてしまうのです…。

 

そんな春香を彼女のファンの町の少女が助けます。 春香は後に団員と合流し浙江省を出るのです。

 

季節も冬へ変わる頃、座長は警察と揉めた際に心身共に大ダメージを受け、間もなく亡くなってしまいます。

亡くなる前、座長は春香と紅月に

「どんなこのがあっても自分に誠実に生きること」と言葉を残しこの世を去ります。

 

劇団は支配人に多額の借金がありました。座長が亡くなるのを機に、支配人は春香と紅月を上海の劇団へ売り飛ばしてしまいます。

 

春香と紅月は座長の死を悲しみながらも、2人で供養し、今後は姉妹として助け合っていくことを誓い合いました。

 

 

上海の劇団で2人は瞬く間に大スターになります。上海の劇団支配人、唐は2人を最高の金儲けとし、女役の春香には淫らな演目をするように命じます。しかし春香は拒絶します。

次第に唐は紅月をそそのかし誘惑します。

純粋で単純な紅月はまんまと唐に引っかかり、

2人は男女の仲へとなっていくのです。

 

この頃から2人の間に少しずつ溝が生じます。

座長への恩を忘れず越劇女優として生きていく春香。時が過ぎれば飽きられるのを恐れて、女の幸せを手にしたい紅月。

2人の目指す方向は変わってしまいました。

 

春香は紅月の恋人が、金に汚く調子の良い薄情な唐なのが許せなかったのです。

そして2人はある日は大喧嘩します。

 

「紅月、あなた本当に唐みたいな男と一緒にいて幸せなの?あの男を愛してるの?」

 

「幸せよ。私は舞台の上の幸せより女の幸せが欲しいの。唐のことを愛してるかわからないわ。でも私はもう唐のものなの。」

 

「座長の言葉を忘れたの?!田舎にいるみんなのことも!!!」

 

「やめてよ!義姉さんは私の事が羨ましいんでしょ? 何が劇団よ!あんなのただのドサ巡りに過ぎないじゃない!!!!!!」

 

バシッッッッッ!!!(春香が紅月にビンタ)

 

 

 

 そして紅月が唐と結婚する事を機に2人は決別してしまいます。

 

春香の人気は止まることなく、遂には「越劇の女王」の座まで登ります。

 

更に越劇の先を考える様にもなり、従来の古典作品ばかりではなく、魯迅の「祝福」などの近代小説を演じるようになります。

「祝福」は女乞食の話で、女性の弱い立場を訴えるために春香は選びました。

 

劇団のバックがなくても十分独り立ちできる春香。日に日に酷くなる唐のやり方に対し、劇団員も春香についていくようになります。

 

 

春香に嫌気をさし始める唐。そんな時、上海の悪い役人から社会に悪影響をもたらすため、祝福の演目を中止する様に命令されます。

 

対抗する春香に唐派閥は、夜道を歩く春香の顔に石灰をかけます。

 

春香は失明ギリギリまでいきましたが、仲間やファンの懸命な助けもあり、復活します。

 

そして事件の裁判が始まるのです。

追い詰められた唐は紅月を犯人に偽装します。

紅月は唐に「犯人として裁判へ行かないとお前を殺す」と恐喝され、泣く泣く法廷に立ちます。

 

春香は自分にこんなに酷いことをしたのが義妹の紅月と知り相当な衝撃を受けます。

 

そして紅月はかなり動揺して、裁判官の質問に答えられません。問い詰める裁判官に対し、発言したのは春香でした。

 

春香は涙ながらに訴えます。

 

「確かに紅月は過ちを犯してしてまったかもしれない。けれど、長年苦楽を共にした家族を裏切る子ではないわ。

必ず黒幕がいるはずよ。それを見破るのが裁判官の仕事でしょ!!!!!」

 

 

思いがけない春香の発言に紅月は失神してしまきます。そして台湾へ逃げる唐とは離婚に1人で浙江省で隠居します。

 

 

春香は裁判の件もあり、その人間性と才能に揺るぎない絶対的な地位を築きます。

大スターの春香は紅月を心配し、浙江省へ演目をしに行きます。

 

春香に合わせる顔がない紅月は完全に避けますが、春香は紅月を許し、2人はまた元の姉妹の仲へ戻ります。

 

そしてかつて、この地で見せしめにされた時、春香を助けてくれた少女と感動的に再会します………*

 

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 恋愛、友情、家族を題材とした映画は沢山ありますが、姉妹ものとなると極めて少ない気がします。

 

しかしただの姉妹の感度ストーリーだけではなく、当時の女性の立場などもわかる作品でした。

春香は一度結婚で社会の闇を垣間見たからそこ、女性の立場を常に考え、今の時代を生きる女性には何が必要なのか、と模索しながら自分が唯一表現できる演劇を使って社会へ訴えます。

 

魯迅の「祝福」、「毛少女」を演じることでその意図がわかりますね

 

どんなに成功してもかつての劇団と座長への恩を忘れず、自分の信念を貫き仲間と妹を守り抜く春香の生き方は本当にかっこいいです。。

 

春香の様な強い女性になりたいな…と思いました*

 

まだまだ時間がかかりそうですが。。笑